Sweetgrass RodsはかつてR.L. Winston Rod Co.をトム・モーガンと共に共同経営していたグレン・ブラケットが独立して始めたフライロッド・メーカーです。ルー・ストーナー、ダグ・メリック、ゲーリー・ハウエルズ、トム・モーガンというウインストンの巨星たちは、今でも燦然とバンブーロッドの夜空に輝いていますが、地上に残っているのはグレン・ブラケットだけです。バンブーロッドが、フライロッドのメジャー・プレーヤーだった時代と共に生きてきた最後の伝説、それがグレン・ブラケットで、少なくともバンブーロッドに関する限り、現在のウインストンよりもウインストンの古き良き香りを、はるかに強く残しているのがSweetgrass Rodsのバンブーロッドです。
1995年のオフシーズン、「1本のバンブーロッドが欲しい」と思い立って、アメリカに始まった私のバンブーロッド遍歴は、1本どころかバンブーロッド葺きの小屋が建てられるほどになってしまいまいましたが(あくまでも比喩です、笑)そんな愚かな人生に先が見え始めたところで、ようやく最後の1本に辿り着きました。詳しい話はFlyFisher誌(つり人社)の最新号(2021年 Mid Autumn)に書いているので、ここでは繰り返しませんが、原点は昔のR.L.Winston(私が生まれるさらに以前)にありました。青い鳥ロッドを巡る旅が終わろうとしていることに一抹の寂しさと、もうこれ以上散財しなくてイイんだ、という安堵の気持ちが交差しているそんなタイミングでこの話が出てきました。以前、東京のフライショップの展示会でSweetgrass Rodsの販売の手伝いを依頼されてから、かなりの年月が経過しましたが、ようやくここに落ち着いたという感じです。結局のところ、ミイラ取りはミイラになるという宿命にあるんだと思います。でも、正直なところ、あのR.L.Winstonの系譜の端っこの端っこに、30Xくらいの見えない糸でつながったことに、言い知れぬ喜びを感じているのも事実です。
-輸入元ふらい人書房HPより-