◆古今道具集◆
AWJのタックル遍歴
 
リールその2 ツインパワー、ステラそして最新鋭
オールドタックル、伝統のある道具だけが持つ雰囲気は確かに、魅力的だろう。けれども、もっと年配になってからでも、いいんじゃないかな。このままじゃあ、自分の釣りは変わらない。ある時、ふと釣り場で思った。・・・・・ 続く(2/7)
リールその1 ミッチェル、アンバサダー、そしてカーディナル
たった数回の使用でギアから異音を発し見事に壊れたのは、初めて購入した国産のチープなクローズドフェイス・リール。構造的に脆弱なのかと、無邪気に次はスピニングリールを入手。これは当時としてハイエンドモデル、同じくメイドインジャパンのやけに仰々しい外観のリール。しかし、糸撚れ増加機能最高で、キャスト時にはベイルが頻繁に戻る。結果、ラインブレイク多発で高価なルアーは異次元の飛距離を叩き出す。直ぐにガタが出て、ベイルスプリンングは始終折損する。修理依頼に出せども帰って来ない。戻ってくれば、またまたトラブル頻発、悩ましい道具。
 使えない、国産物は。やはりり伝統のある舶来品かと、 初めてミッチェルを手にしたのは’70年代後半。価格、ステイタス観ともに恐れ多かった408。勿論、それではなく204。自重180g、ダイジェシト版、エコノミークラス。ガルシア・グラスロッドの三分の一の値。204にセットするはウエダのグラスファイバー竿、FWSシリーズ。これで俄然快適に。
FWSは6フィートのライトパワー。これは、この時代のフェンウイックを扱うティムコ社のカタログの影響。曰く、アクションは竿の調子で、強さはパワーで表す。でも多くの人はライトアクションって言ってたが。 コルクグリップにシンプルなスライドリングのリールシート。やや塗装の弱い面もあったが、素直な竿だった。なによりも少年にも、手が届くプライスが嬉しかった。
 まだ残雪のある春の渓流。大きく曲がるふちの巻き返しの中から、初めて山女を釣り上げたのがこの竿。そしてルアーはブレットンの5g。20cm半ばのサイズながらも、綺麗な魚体にはびっくり。沼や海で雑魚釣りをしていては、見ることの無い模様の魚。親父の運転する車で行ったからか、しっかりキープされた。そして夕べには、すっかり塩焼きと化し、父の酒の肴となった。美味い、と喜んでいたのか、子供を喜ばせていたのか。
「一生大切に使いたいーと誰もが云う ミッチェル」、「超精密メカニズムがぎっしり、他の同型リールの追随を全く許さぬ高級超小型リール、プラナマティックギアー、テフロンドラグ、ダブルボールベアリング」。そんな宣伝文句に少年の好奇心が刺激された。そして案の定、購入する始末。308、408。この時代の最高峰の性能。軽く滑らかな巻き心地。ベールを返す音やドラグ音、とにかく全てが素晴らしく感じられた。